日創研・経営研究会本部会長三ヵ年方針
エクセレントな企業経営から、地域に愛され、尊敬される企業経営が大切な時代になりました。 色々な企業の不祥事が続く中で、我々日創研・経営研究会は、単に企業規模の拡大を追うだけではなく、 地域に根付いて、地域を活性化させる一翼を担うことが、大きな役目の一つにもなってきたと思います。温度差はあっても、この日創研・経営研究会が地域に認知され始めてきたことは、本部会長として非常に喜ばしく、 努力をされてきた会員の皆様に心からお礼を申し上げます。
さて、本部会長として、日本創造教育研究所の代表として、講師や経営相談の役割を担う一人として、 一環して企業の命題は「永続性」にあることを問うてきました。
どの教育カリキュラムにも、この枠組みが貫かれていると確信します。
永続する為に一番大事な事は、少なくとも10年後の自社のあるべき姿を思い描く必要が有ります。
経営者とは、未来に対する意思決定をする人であり、現在の意思決定は幹部に一任すればいいと思います。
また、一任に値する幹部育成は、この日創研・経営研究会発足以来主張し続けてきたものでもあります。
お陰で「100年企業を目指そう」という会員企業様も多くなり、いかに企業の存続が難しいかも、学べば学ぶほど理解されているはずです。
さて、「月刊・理念と経営」で、イギリスのエコノミスト誌の編集長「ビル・エモット氏」と対談しました折、企業の永続性と日本の中小企業経営の有り方を質問した際、非常に印象に残る言葉が有りました。 「日本の中小企業のアイディアとテクノロジーは世界一です。これから企業を成長発展させ、さらに永続させる経営者は、自分が従事している企業の本質について、極めて明確な目的やビジョンをもち、強い決断力を有している人たちです。こうした経営者は、空想的な計画や、事業を多角化しようとする考えに、決して惑わされません。それが結果的にお金の無駄使いとなり、多くの問題をひき起こすからです。ベストの企業経営者とは、ただ一つのこと、すなわち自分の事業の本質に、明確な目的を持っている人です。」 この言葉と同じことを、戦後の日本経済を技術的側面から支えてこられた、唐津一先生も主張されています。
「日本経済の素晴らしさは、手抜きをしないことで、製品の一部品、一技術を担っている中小企業なのである。
日本にある小さなオンリーワン企業の集積があって、初めて成り立っていることに誇りを持って欲しい」 唐津先生は88歳のご年齢ですが、我々中小企業がこの国を支えてきたのだと言われました。実に、我々、日創研・経営研究会が肝に銘じなければならない考え方であると確信しました。 先ず10年後のビジョン描き、その実現に向けて長期的に経営革新をしていくことで、結果的に企業は確実に進化を遂げていくと思います。
特にトップマネジメントのマインド・イノベーションが、企業の永続性に絶対不可欠なものともいえるでしょう。
「月刊・理念と経営」に書かせて頂いております、企業成功の法則「社長力・管理力・現場力三位一体論」は、まさにビジョンからしか始まらないと思います。
① 経営的視点を持った現場作り、 ② 経営的視点をもった幹部育成、 ③ 社長自らが過去の栄光を捨て、零からの出発として毎日の経営革新に邁進しなければならないと思います。
前三ヵ年の、「増収増益経営を目指そう」という三ヵ年方針は、少なくとも多くの成果を残しました。
様々な観点から学んでおられる方々は、間違いなく増収増益の実現をしておられます。
しかし、そうしたことに安心せず、2007年度を新しい出発の年と位置づけして頂けたらと思います。
10年後の自社のあるべき姿を明確に意志決定するところから、すべてが始まるものと確信し、日創研・経営研究会の三ヵ年方針とします。
日創研・経営研究会
本部会長 田舞徳太郎